漢方薬の飲み方って?

漢方薬って、なんとなく体に優しいイメージがありませんか?
実際その通りで、漢方薬は自然界に存在する植物・動物等に含まれる薬効のある成分を組み合わせており、処方箋医薬品に比べて効果が緩やかに効いていくため、体に負担が少ないお薬となっています。

そんな魅力的なお薬ですが、今まで漢方薬を服用したことがなかったり、病院で処方されたものの後から飲み方がわからなくなったことってありませんか?

今回はふと疑問に感じるであろう漢方薬の飲み方について、みなさんとシェアできればと思います。

どうやって飲めばいいの?

お水か白湯を口に含んでから、漢方薬を服用するのが好ましいです。
しかし、「〇〇湯」という名前の漢方薬は、お湯に溶かして飲むのが基本とされていますし、
「〇〇散」と呼ばれるものをお湯に溶かして飲むことを薦める場合もあります。

一日何回飲めばいいの?

用法用量は普通のお薬同様に様々です。
一日分の量が決まっていて、それを2回か3回に分けて服用します。

食前・食間・食後、いつ飲めばいいの?

一般的には食前30分程、または食間(食後2時間程)の空腹時が好ましいとされています。
ちなみに食間と聞くと、食事中かなと勘違いしがちですが、食事と食事の間の空腹時を指しますのでご注意くださいね。

では、なぜ空腹時がいいのでしょうか?
その理由は、例えば満腹時に漢方薬を服用した場合、体内に栄養が豊富にあるため、
漢方薬の成分がうまく吸収されにくく効果が弱まる可能性があるのです。

水以外で飲んでもいいの?

お水か白湯で飲むのが好ましいです。
牛乳、ジュース、紅茶などで服用すると効き目に影響が出てしまったり、
組み合わせが体に合わない可能性も考えられるので、避けましょう。

食前で飲むべきだったのに飲み忘れた!

もしも、朝飲み続けていたのについ忘れてしまった場合は、
朝食後2時間程度・昼食30分前程度の食間に飲むようにしましょう。

また、夕食前の分を飲み忘れた場合、食後でも構いませんので飲むようにしましょう。
継続して飲み続けてこそ効果が発揮されるタイプの漢方薬もあるため、いきなり中断してしまうよりも効果が見込まれます。

ひとつ注意点としては、万が一、次の服用時間に近づいてから前回の飲み忘れに気付いたとしても、2回分をまとめて服用することは副作用が生じる可能性もありますので必ず避けてください。

一番は、飲み忘れがないように管理する事が大切です。
目につくところにメモを残しておいたり、携帯のアラームを使用、
または近頃お薬の飲み忘れを防ぐべく開発されたアプリ等も存在するようですので、
ご自身に合った方法で管理してみてくださいね。

オブラートに包んでもいいの?

はい、問題ありません。
確かにクセの強い臭いや苦みの漢方薬は多くありますよね。
それが理由で飲むのが億劫になるよりかは、オブラートに包んで苦手意識をなくした方が継続しやすいと思います。

しかし、服用するときはいつもより多めの水または白湯を飲んで、
胃の中で早くオブラートを溶かして漢方薬の吸収を促すようにしましょう。

または、オブラートで包んだ漢方薬を、コップに溜めた水の中へ沈めてしまう方法もあります。
ある程度オブラートが溶けたら、その水ごと一気に口の中へ流し込むと、オブラート独特の口内へくっつくこともなく簡単に飲む事ができますよ。

子どもでも飲みやすい漢方薬や飲み方は?

まず、先ほどもご紹介したオブラートで包む方法があります。
しかし小さなお子様であれば口の中でくっついたり、うまく飲み込めないということも出てくると思います。

少しでもその苦みやクセを感じてしまうと「薬」に対する苦手意識が高まってなかなか服用してくれなくなる、という可能性もありますよね。

その場合は、おくすり服用のゼリーや濃い味のもの、例えばハチミツやアイスクリームに混ぜ込んでしまうことが最も簡単にお子様に服用してもらえる方法ではないかと思います。

もちろん普通に水か白湯で服用することが最も効果的なのですが、一切飲まないよりも続けてお子様にも飲んでもらえるよう、多少工夫をしてお子様にベストな飲み方を見つけましょう!

最後に、みなさん一度はちらっと聞いたことのあるであろう漢方薬を、いくつかご紹介します。

聞きなじみのある漢方をご紹介!

葛根湯(かっこんとう)

日本で最も知られていると言っても過言ではない、かぜ薬としてなじみのある代表的な漢方薬です。

「麻黄」「葛根」「生姜」「桂枝」「芍薬」「甘草」「大棗」の7の生薬が用いられ、
西洋医学では体温を下げて熱も下げるという考え方とは異なり、発汗を促すことで熱を下げ風邪を治す作用があります。

風邪の初期症状である頭痛・寒気などにも有効で、抗炎症作用や鎮痛作用もあるため、
他にも鼻炎や肩こりの緩和といった目的など、幅広く利用されているのがこの漢方薬の特徴です。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

夏場に処方された経験がある方も、少なくはないのではないでしょうか?
夏バテで胃腸が弱ってしまった人や、食欲がない人、倦怠感や体の怠さが取れず、エネルギー不足に陥った人におすすめの漢方薬です。

「補中」は“お腹”という意味を持ちます。また、「益気」は“気を増す”という意味があり、その名の通り体力回復を目的とされています。

また、男性の不妊治療としても使用されることがあります。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

急に運動をしたり、寝ている時に足がつってしまった・・・等、筋肉のけいれんを伴う痛みの症状に頓服薬としてよく用いられる漢方薬です。

「芍薬」と「甘草」の二種類の生薬のみで出来ており、けいれんを鎮め、急激に起こる痛みを緩和して栄養成分である血を増やす作用をもっています。
こむらがえりの薬として知られていますが、急性の腰痛や腹痛、月経痛にも用いられることもあります。

小青龍湯(しょうせいりゅうとう)

花粉症やアレルギー性鼻炎の対処薬として用いられることの多い漢方薬です。
青竜の「青」は、配合生薬のうちのひとつである「麻黄」の色の青さから名付けられたと言われています。

体内の水分の代謝を良くすることにより、呼吸器機能を改善するといった目的のある漢方薬ですので、
例えば水っぽい鼻水や痰がからんだような咳などの風邪の初期症状にも有効とされています。

眠くなる成分は一切入っておらず、運転時や仕事時も含め日常的に服用できますよ。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

18種類もの生薬が組み合わさり、服用することにより体の代謝を促進して余分な水分を出し、
皮下脂肪と内蔵脂肪を燃焼させるといった作用のある漢方薬です。
肥満で便秘気味の人に有効と言われており、脂肪燃焼だけでなく利尿作用によってむくみや肩こりの軽減も効果が期待できます。

ダイエットサプリメントの代わりに服用するという事で注目を受けているこちらの漢方薬ですが、
元々胃腸が弱い人や虚弱体質の人には向いていないと言われていますので、
ご自身の体調や体質をきちんと配慮した上で服用してくださいね。

漢方をうまく生活に取り入れましょう

以上、いかがでしたか?

体調を治すだけでなく、元々の体質改善にも効果があると言われている漢方薬。
副作用の危険性も西洋薬に比べると低く、小さなお子様からお年寄りまで幅広く支持されています。

今後もうまく生活に取り入れながら、ご自身の健康維持に是非役立てていただければと思います。