思春期に入ると悩まされる人が多いニキビ。その原因は過剰な皮脂の分泌です。青春のシンボルと呼ばれることもあるニキビですが、悪化すると見た目も気になりますし、後々皮膚にでこぼこした跡を残してしまうことも……。
また、ニキビは10代だけではなく、大人になってから悩まされる人もいるものです。
洗顔や塗り薬など、ニキビケアにはいろいろなものがありますが、そのうちのひとつに漢方薬があることをご存知ですか?
今回は、ニキビ対策に用いられる漢方薬をご紹介します。
ニキビが発生する理由とは
ニキビの正式名称は「尋常性座瘡(じんじょうせいざそう)」。過度な皮脂の分泌や、皮膚表面からはがれ落ちた古い角質が毛穴に詰まることが発生の原因です。この初期の状態のニキビを「白ニキビ」と呼びます。
ニキビケア用品のCMなどで、「アクネ菌」という名前を耳にしたことがある方もいるでしょう。詰まった毛穴に、この「アクネ桿菌(かんきん)」という菌が増殖することで、毛穴が炎症を起こしてしまうのです。炎症を起こした毛穴は赤くプツンと盛り上がります。この状態が「赤ニキビ」と呼ばれるものです。
赤ニキビからさらに悪化してしまうと、毛穴は化膿し、膿が溜まってしまいます。悪化したニキビを指先でつぶして、中身を出すことで目立たなくした経験はありませんか? この段階まで悪化させてしまうと、将来的に肌表面にニキビ跡を残してしまう可能性も。いくら気になったとしても、ニキビを指先でつぶすことはご法度です。
ニキビを防止・改善させるための方法
ニキビ対策には、個人でできるものをはじめ、さまざまなものがあります。
・洗顔方法の見直し
・食生活の見直し
・市販の塗り薬の使用
・皮膚科処方の薬(内服・外用薬)を使用
西洋医学の分野では、ニキビの程度が重い場合、内服薬・外用薬を併用することもあります。しかし、抗菌薬を長期利用することは副作用・耐性菌の心配もあるのです。
西洋医学の薬の利用頻度を抑える際に役立つものが、漢方薬です。漢方薬は体内環境に作用するため、今できているニキビだけではなく、今後ニキビができにくい体質に改善していくことが期待できるのです。西洋医学の薬と漢方薬とを併用することもありますよ。
ニキビに用いられる漢方薬5つ
ニキビにお悩みの方に処方されることが多い漢方薬をご紹介します。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
体力が中程度ある人に処方される漢方薬です。ニキビが慢性化し、肌表面が浅黒くなってしまっている方に用いられます。
副作用:まれにですが、間質性肺炎・肝機能障害・黄疸といったものが見られることがあります。
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
中国の医学書を元に江戸時代の外科医が作り上げた、日本生まれの漢方薬です。名前の通り、10種類の生薬が含まれています。「敗毒」とは、毒素を取り除くという意味。10種類の生薬で毒素を取り除く漢方薬というわけですね。
化膿を抑える働きがあることから、何度も化膿を繰り返すニキビにお悩みの人に処方される漢方薬です。中程度体力があり、比較的神経質な人に適しているとされています。
副作用:胃腸が弱い人では、食欲不振・吐き気・下痢症状が現れることがあるため、服用には注意が必要です。
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
比較的体力がある人に処方される漢方薬。化膿してしまったり赤くなってしまったりしている、悪化してしまったニキビにお悩みの方に適しています。
副作用:胃腸が弱い人では、胃の不快感・下痢が現れることがあります。また、まれに肝機能障害を引き起こすことも。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
婦人科系で処方されることが多い漢方薬・当帰芍薬散も、ニキビに用いられることのあるもののひとつです。適しているのは、冷え症を抱え、白ニキビに悩まされている人。体力がない痩せ型の人に処方されることが多いです。
副作用:胃腸が弱い人では嘔吐・腹痛・下痢症状がみられることがあります。
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」に「薏苡仁(よくいにん)」を加えた漢方薬。「よくいにん」は耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。皮膚荒れに効果を持つ生薬のひとつです。
適した人は体力が中程度ある人。赤ニキビや、化膿してしまったニキビに悩む方に処方される漢方薬です。
生活習慣改善も合わせたニキビ対策を
体質は生まれ持った個性として持っているものではありますが、ふだんの生活習慣が原因となっているものも少なくありません。肉など脂っこいものばかりを好んで食べている・ファーストフードやインスタント食品ばかりを食べ、野菜類はあまり口にしないなど、食生活は自ら改善できる生活習慣のひとつ。過剰な皮脂の分泌を防止するためには、バランスのよい食生活を送ることも大切な対策のひとつです。
また、洗顔や保湿も自分でできるニキビケアのひとつ。肌表面が乾燥していると、人の体は皮膚を保護するために過剰に皮脂を分泌するシステムを持っています。そのため、肌を清潔に洗うだけではなく、保湿もきちんと行いたいものです。
繰り返すニキビは、10代であれ大人であれ、気持ちを落ち込ませてしまったり、コンプレックスになってしまったりする厄介なもの。適した処方を受け、生活習慣も合わせて変えていくことで、きれいなすべすべお肌を目指したいものですね。
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