街中などで鼻の頭が赤く、ポツポツとニキビのようなものができていたり、コブ状になっていたりする人を見かけたことはありませんか?
こうした「赤鼻」は、「酒さ鼻(しゅさび)」と呼ばれる皮膚疾患のひとつ。ザクロの赤い実に似ている見た目から「石榴花(ざくろばな)」と呼ばれることもあります。
ここでは「赤鼻」「酒さ鼻」に効果がある漢方薬をご紹介します。
ストレスや飲酒・日光などが赤鼻を悪化させる要因に
赤鼻(酒さ鼻)の原因ははっきりとはわかっていません。しかし、お酒の飲み過ぎやストレス、香辛料や刺激物の食べすぎ、日光の浴びすぎなどが、赤鼻を引き起こしたり悪化させたりするのだと考えられています。
西洋医学では、中程度のニキビに対する治療と同じ治療を行い、上記の原因とされる要因をできる限り取り除き、解決を目指します。
一方、漢方医学では、赤鼻は、お酒や刺激物の摂取により胃や大腸に発した熱が鼻に上がるため起きるものだと考えられています。鼻に熱が集まることで血行が悪くなり、その結果、ニキビのような腫れ物ができるのです。
そのため、熱を冷まし、血行をよくする作用がある漢方薬が処方されます。
赤鼻を解消する作用を持つ漢方薬をみていきましょう。
・葛根紅花湯(かっこんこうかとう)
8種類の生薬から成る漢方薬です。主な生薬は「葛根」と「紅花」。葛根は解熱作用、発汗作用を持つ生薬で、紅花は血流を良くする作用を持つ生薬です。この2種類の生薬が鼻の熱を取り毒素を散らすことで、赤鼻を解消できるとされています。
副作用:下剤にも使われている生薬「大黄(だいおう)」が含まれているため、胃腸が弱い人が服用した場合、下痢や腹痛を引き起こすことがあります。また、紅花は血行をよく巡らせる生薬のため、妊娠中の方は服用ができません。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体力があり、のぼせ気味の人に処方される漢方薬です。鼻だけではなく、顔面が紅潮する人への有効性も確かめられています。
副作用:体力がない人が服用すると、下痢を起こしやすくなります。まれに間質性肺炎や肝機能障害、黄疸が起こることもあるため、注意が必要です。
・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
体力があって暑がり、のぼせ気味の人に向くとされている漢方薬です。「黄」の字がつく3つの生薬が配合され、みぞおちのつかえを解消するとされる「瀉心湯類」のひとつだということから、「三黄瀉心湯」と名づけられました。
血に熱がこもった状態とされる「血熱」の人に処方され、体の熱や炎症を取り去ってくれる漢方薬だと考えられています。
短期間使用に向く漢方薬で、長期間の服用は勧められていません。
副作用:腸を刺激する生薬「大黄」が含まれているため、体力がない人や胃腸が弱い人には不向きです。食欲不振や腹痛、下痢が起こることがあるので、服用には注意が必要です。大黄は子宮を収縮させることもあるとされているため、妊娠中の使用もできるだけ控えます。また、まれに間質性肺炎、肝機能障害が起こることもあります。
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
比較的体力がある人に向く漢方薬です。にきびやおでき、化膿した湿疹に用いられます。
副作用:胃腸が弱い人が服用すると、胃の不快感や下痢を起こすことがあります。また、まれに肝機能障害を起こすこともあるので、注意が必要です。
・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんびとう)
比較的体力がある人に処方される漢方薬です。「血」の巡りが悪くなった「瘀血(おけつ)」を改善させる作用があるとされている漢方薬のひとつです。
代表的な生薬は「大黄」と「芒硝(ぼうしょう)」。どちらも熱や炎症を抑える作用がある生薬です。また、「牡丹皮」と「桃仁(とうにん)」には血行をよくする作用が、「冬瓜子(とうがし)」には炎症を抑える作用があります。
副作用:胃腸が弱い人が用いると、食欲不振や腹痛、下痢が引き起こされることがあります。また、「大黄」は子宮収縮を起こすこともあるとされているため、妊娠中の使用はできる限り控えましょう。
漢方の服用と同時に原因となる要因を取り除き、悪化させる前に解消を目指そう
赤鼻(酒さ鼻)は、軽い場合はポツポツとしたニキビのようなできものができる程度ですが、悪化すると鼻がこぶ状のようになってしまいます。
お酒の飲み過ぎや刺激物の摂りすぎなど、日常生活で意識できるところを改善しながら適した漢方薬を服用し、悪化させてしまう前に解消させたいですね。