夏と言えばスイカに素麺、かき氷、ざるそばなど、美味しい食べ物や楽しいレジャーも数えきれないほどありますが、夏を楽しむ前に夏バテにやられてしまう方もかなり多いのではないでしょうか?
わたし自身はそこまで夏バテで苦しい思いをしたことは多くないものの、それでも毎日料理をする気力が残らず素麺を茹でるだけというメニューだったことが多々あります。(反省。。)
とある友人は、毎年夏が近づくにつれて食欲がどんどん低下し、冬との体重差はなんと約10kg近く出てしまう・・・という子もいました。食べたくても食べれない、というのも辛いですよね。
人の体とは、常に体温を一定に保つために大きなエネルギーを消費しているので、その分負荷はかかっています。通常であればその負荷に耐えることができるのですが、負荷が大きすぎたり長引いたりすると、体内に溜まった熱を放出できずに夏バテとなってしまうのです。
夏バテの代表的な症状
◆食欲がなくなる
◆やる気が出ない
◆下痢・便秘
◆立ちくらみ・目眩
◆むくみ
◆全身の倦怠感
◆イライラしやすくなる
◆頭痛
◆思考力の低下
夏バテと聞くと、毎年お決まりの言葉でそこまで重く受け止めないかもしれませんが、これらの症状は決して心地いいものではありませんよね。
また、「毎年恒例のこと」とそのまま放っておくと、症状は良くなるどころか悪化し、内臓までもが疲れてしまって機能も弱くなってしまいます。
夏バテの主な原因・・・
では、どうして夏バテは起こってしまうのでしょうか。
その原因は次のように、様々なことが考えられます。
1.屋内がひんやり、外は灼熱という気温の変化に体がうまく付いてこない
2.暑いからと冷たいものばかり口にしてしまう
3.夜、暑さで寝苦しくて睡眠不足になる
4.暑くて汗をかきやすいので身体を動かさない
5.冷房で身体を冷やしすぎてしまう
これらの様々な原因が結果として体への大きな負荷となり、このように「体調不良」というシグナルを出して、自分に訴えかけているのです。きっとひとつくらい「当てはまる!」という方は意外といらっしゃるのではないでしょうか。
特に3番は、寝ているうちにも夏バテを通り越して熱中症になり得ますし、実際に睡眠中の熱中症により命を落としてしまう方のニュースも昨年何度か拝見したように記憶しています。
睡眠時はなるべく快適な温度・湿度に設定して眠りにつくようにしましょう。睡眠時、温度や湿度が高すぎると発汗による体温調節がうまくいかず、皮膚から熱が逃げにくくなり、結果的に睡眠不足となってしまいます。
かと言って、逆に冷房を効かせすぎて体を冷やしすぎると手足を中心に血管が収縮し、皮膚から熱を発散させずに体温を保とうとしてしまい、体内温度が上手に下がっていかないため寝つきが悪くなってしまうのです。快眠は健康維持の基本とも言われるほどなので、なるべく体に優しい環境で眠りにつきたいですね。
2番の「冷たい物ばかり口にしてしまう」というのも、急激に胃腸を冷やして血流の流れが悪くなり、消化や栄養の吸収を妨げてしまうためお腹を下してしまいがちです。
更に、腸に集まるリンパ球が血流の流れが悪い事から働きが鈍くなり、免疫力までもが落ちてしまう可能性は大きくあります。
そうなると、夏バテから夏風邪を引いてしまったり、感染病にかかりやすくもなってしまうので注意が必要です。
例えば節電を徹底しすぎて、暑さに敵わずに冷えたお茶や食べ物を一日中摂取し続けてしまう・・・という事もよくある話の様な気もしますが、血流を妨げてしまうほどの冷たい物の摂取はしないように心がけましょうね。
しかし、いくら生活習慣に気を付けていても、逆に我慢となり心身ともに疲れてしまうこともあるかもしれません。
せっかく健康に気遣ってのことなのにストレスに繋がってしまっては意味がありませんので、夏バテを防ぐためには漢方を使用するというのもひとつの手段。
夏バテに効果を発揮する漢方薬5選!
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
「清暑」とは“暑さを取り除いて涼しくする”ということを意味し、名前の通り夏バテ全体の症状回復を目的として用いられることの多い、代表的な漢方薬です。
体力の低下・胃腸の働きを整える役割として、人参(ニンジン)と黄耆(オウギ)が基本構成となっています。また、これらの生薬に加えて水分不足を補う麦門冬(バクモンドウ)と五味子(ゴミシ)が含まれています。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
「補中」はお腹という意味を持ちます。また、1番の清暑益気湯にも含まれている文字ですが、「益気」は“気を増す”という意味があり、どちらもその名の通り体力回復を目的とされています。
夏バテで胃腸が弱ってしまった人や、食欲がない人、倦怠感や体の怠さが取れず、エネルギー不足に陥った人におすすめの漢方薬です。
ちなみにこちらの漢方薬は、男性の不妊治療としても使用されます。クラシエでは療方昇陽(りょうほうしょうよう)がおすすめです。
療方健脾(りょうほうけんぴ)
「含まれる六つの生薬が君子(中国語で立派な人物)達のよう」という意味でつけられたこの漢方薬。
胃の粘膜を保護して、胃腸の働きを良くしてくれる効果があるため、食欲不振や胃痛、嘔吐、消化不良、みぞおちの圧迫感や引っかかりに効果的です。また、全身倦怠感や疲れが残りやすい人や、冷え症気味の人にも効果を発揮します。
療方調流(りょうほうちょうりゅう)
利尿作用や発汗作用を持つ生薬を中心に組み合わせられた漢方薬です。
夏バテにより体内の水分の代謝やバランスが悪くなり、下痢、口の渇き、尿の減少、むくみの症状等などに使用され、水分循環を改善する代表的な漢方薬です。
ほかにも、子どもの下痢、妊婦のむくみ、二日酔いなどの吐き気やむかつきにも用いられます。飲み会前に二日酔い予防として飲む人もいるようです。下痢、尿量の減少、むくみなど症状の他に蕁麻疹などの皮膚に現れる症状もある場合にはコタローの茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)がおすすめです。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
本場中国で古くから使用されてきた漢方薬です。薬の色が白いことから、「白虎」と名付けられました。
炎症を抑えたり、熱をさます働きのある生薬や、滋養・滋潤作用をもつ“人参”が加わっているため、日射病、熱中症により体に熱がこもってしまうと、火照りや口・喉の渇き、皮膚のかゆみなど起こることがあり、これを鎮める作用があります。
また、糖尿病の初期症状でのどが渇く場合にも処方されることがあります。
漢方を活用して夏バテを乗り切ろう
ご存じの通り、夏バテには様々な症状が出ることから、お悩み別でご自身に合った漢方薬を選んでお試ししてみてくださいね。
漢方の先人が残した言葉に「脾は燥を好み,湿を嫌う」という言葉があります。
「脾」とは、脾臓ではなく、胃腸(消化機能)のことを指します。
つまり、「胃腸(消化機能)は乾燥を好み、湿気を嫌う」性質があると考えられているため、今日のような梅雨や夏など湿気の多い季節になると胃腸の調子が悪くなりやすく、食欲もわかないと言われているのです。
日本の夏は湿度が高いため、より夏バテになりやすい風土かもしれませんね。
でも、せっかくの四季のひとつですし、夏バテだからとはじめから諦めるのではなく、漢方の力も借りながら無理なく夏バテを乗り切って、是非楽しい夏のひと時を過ごしましょう!!
他の漢方薬もございます!
ナガエ薬局ではコタロー(小太郎漢方製薬)やクラシエ薬品の漢方薬などの取り扱いを行っておりますのでぜひご利用ください。漢方薬をお探しの場合には漢方薬名(ひらがな可)でもご検索頂けます。