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加味温胆湯の概要解説
概要解説
胃腸が元々弱い方、胃腸機能の衰えがある方や精神的なストレスなどによる精神神経症状(不眠症・神経症)などに効果がある漢方薬です。また、精神的な情緒の点でも自発性、注意力などの改善、認知症での特有症状(易怒性、切迫感、焦燥感)やアルツハイマーなどにも副作用がほとんど無い漢方薬として有効との報告もなされている漢方薬です。
加味温胆湯の中医学解説
主な役割:清熱化痰・滋陰益気・補血安神・和胃降逆
・熱を冷まして痰を無くす役割(清熱化痰)
・気を与えて冷ます力を滋養する役割(滋陰益気)
・血を補って精神的に安定させる役割(補血安神)
・胃の働きの悪化で気を降ろせずに起きる嘔吐や吐き気を改善する役割(和胃降逆)
消化吸収を行ったり、エネルギー源を作り出す消化器系は痰や湿には弱い臓器と言われ、消化器系の働きが悪くなると痰や湿が発生しやすくなります。その痰・湿は胆の機能を阻害してしまう事で痰を余計に温めてしまい、上部を阻害してしまうことで病変してしまう状態を改善する温胆湯を中心に気を益す(益気)、血を養血する(養血)、精神的に安定させる(安神)の生薬を配合する事で心胆を補う漢方薬です。
アルツハイマー病について(情報掲載)
第50回東洋医学会にて「アルツハイマー病と加味温胆湯の臨床効果」の表題で東北大学・北里大学の医師達によって発表がなされ、漢方薬は通常「証」を基にして治療が行われますが、体質に関係なくアルツハイマー型の(AD)入院患者(61~85歳までの男女20名を対象)へ1日2回の煎じ薬による投与を行った結果、著効2、有効5で情動面・自発性・注意力など改善がみられたと発表がなされました。
副作用も特に見受けられず、数日で介護者も驚くほど明らかな情動面(易怒性・切迫感・焦燥感)での改善がみられたと発表されました。加味温胆湯はアルツハイマー病の患者の治療薬として今後検討する意義のある漢方薬と考えられます。
こんな方におすすめです!(ご利用の目安)
記憶力が鈍っている
胃腸があまり強くない
思い悩む状況がある
認知症やアルツハイマーがある
処方構成と適用症
処方構成
半夏(はんげ)
茯苓(ぶくりょう)
陳皮(ちんぴ)
竹如(ちくじょ)
生姜(しょうきょう)
橘実(きじつ)
甘草(かんぞう)
遠志(えんじ)
玄参(げんじん)
人参(にんじん)
地黄(じおう)
酸棗仁(さんそうにん)
大棗(たいそう)
消化吸収を行ったり、エネルギー源を作り出す臓器(脾・胃)の機能が低下した際に発生する痰・湿に効果のある二陳湯(半夏・陳皮・茯苓・甘草・生姜)+熱を冷まして痰を無くす(清熱化痰)の竹茹、気を推動させる(理気)の枳実が加わった温胆湯に鎮静、補気、補血の生薬が加わっていますので、不眠、動悸、驚き易いなどの精神不安をより鎮める役割がある漢方薬です。
適用症
胃腸が虚弱なものの次の諸症:神経症、不眠症に効果があります。
中国での主な使用法
主な役割:妊娠悪阻、胃中有熱、嘔吐
中国では妊娠によって起こる激しい吐き気や嘔吐(妊娠悪阻)、胃の中に熱がある状態(胃中有熱)や嘔吐に用いられている漢方薬として知られています。また、慢性的な疲労の状態(心胆虚怯)、物事に驚きやすい状態(触事易驚)、不眠や不吉な夢や悪夢などを見る状態(梦寐不祥)、幻想や奇怪で混乱している状態(异象感惑)、心を寂しくさせて胆に衝撃を与える状態(遂致心惊胆慑)、気落ちによるよだれが出る状態(気郁生涎)、よだれが気の戦いを生じさせる状態(涎与气搏)、証を変えてしまう状態(変生緒証)、飲食しても味がしない(飲食無味)などの治法としても使用されています。
中国での構成は枳実、半夏、竹茹、橘红、白茯苓、甘草、香附、人参、柴胡、麦門冬、桔梗となっています。
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